江戸時代、引札はどのように配布されたか。(2005年)

2015/06/08

 引札は、江戸から明治・大正期に商店などが開店・売出しの披露や商品広告のために配ったちらしのことで、その配布方法には、特定のお得意に限る、町内各戸へ、通行人に配るなど、商売の業種や店の規模によってさまざまな形態がありました。 『引札繪ビラ風俗史』(増田太次郎著,青蛙房1981)には、「街頭配布」「戸別配布」「建物の内か外に貼る」「商品に添えて渡す(包装紙を含む)」「行商しながら配る」などがあげられています。 三井越後屋は天和3年(1683)日本橋駿河町に移転開業した折に引札を江戸市中の各戸くまなく配布したといわれています。また、上野松坂屋が安政3年 (1856)に5万5千枚を「若い者に人夫を添え、方角割配らせた」という記録があり、このように大店の呉服屋が引札を各戸軒なみに配る様子は「江戸中の家数を知る呉服店」「家のあるだけは呉服屋配って来」といった川柳にも描写されています。

 

(参考資料)

『引札繪ビラ風俗史』(増田太次郎著 青蛙房 1981年 6742/21/81)

『広告世相史』(今野信雄著 中央公論社 1985年 6742/4/85)

『広告の日本史』(松本剛著 新人物往来社 1973年 6742/17/73)

『江戸のコピーライター』(谷峯蔵著 岩崎美術社 1986年 6742/6/86)

 

(備考)

アド・ミュージアム東京( http://www.admt.jp/window open

印刷博物館( http://www.printing-museum.org/window open )(2014/4/1確認)

「のぼせ引さげ五臓円」歌川安/画(江戸東京博物館収蔵品検索) https://www.edohakuarchives.jp/detail-11644.html

 

(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000024048window open