バレンタインデーの起源について。(2006年)

2015/06/08

 2月14日は、『日本キリスト教歴史大事典』(教文館,1988年,1903/1/88)『大衆文化事典』(弘文堂,1991年,3615/1/91)によれば、イタリア人司教ヴァレンティヌス(Valentinus)がローマ皇帝の発した遠征兵士の結婚禁止令に反対したことで、269年頃に処刑された殉教記念日ということです。中世ヨーロッパでは愛の守護聖人としてヴァレンティヌス崇拝が盛んとなり、14世紀頃からは宗教と無関係に、恋人同士が贈り物を交換する風習がありました。また、鳥がさえずり始める日を記念した2月15日の古代ローマの豊穣祈願祭ルペルカリアと結合したとも言われています。 バレンタインデー=チョコレートを贈るという習慣は日本独特のもので、その始まりは昭和11年 (1936)に神戸のモロゾフが考案した、昭和33年(1958)にメリーチョコレートがキャンペーンを始めた、など諸説あるようです。しかし、戦後の2月1~14日の新聞広告を丹念に追っている『都市の年中行事-変容する日本人の心性』(石井研士著,春秋社,1994年,3861/94/94)によると、1960年代においては、必ずしも女性から男性へチョコレートを贈るということではなく、また恋人同士に限らず、家族や友人同士での様々なプレゼント交換をすすめていたことがわかります。さらにこの本では現在のような形で“年中行事”化していく背景を調査・分析しています。図書室には、朝日・読売・毎日・東京新聞の創刊号~平成10年のマイクロフィルムを所蔵しています。2月の記事や広告を明治時代から追っていくと日本におけるバレンタインデー変遷の新発見があるかもしれません。

 (参考資料)

『日本キリスト教歴史大事典』(教文館 1988年 請求記号:1903 / 1 / 88)
『大衆文化事典』(弘文堂 1991年 請求記号:3615 / 1 / 91)
『都市の年中行事-変容する日本人の心性』(石井研士著 春秋社 1994年 請求記号:3861 / 94 / 94)
『現代家庭の年中行事 講談社現代新書 1182』(井上忠司,サントリー不易流行研究所著 講談社 1993年 請求記号:3861 / 130 / 93 p.114)
『森永製菓100年史』(森永製菓 2000年 請求記号:5883 / 36 / 000 p.189)

 

(関連サイト)

日本菓子工業組合連合会  http://www.zenkaren.net/window open  (2014/2/5確認)

日本チョコレート・ココア協会  http://www.chocolate-cocoa.com/window open  (2014/2/5確認)

モロゾフ(バレンタインとモロゾフについて)  http://www.morozoff.co.jp/quality/valentine/index.htmlwindow open  (2014/2/5確認)

 森永製菓  https://www.morinaga.co.jp/company/about/history02.htmlwindow open  (2017/2/12確認) 昭和35(1960)年のバレンタインデー広告にはカードや手紙に「チョコレートをそえて贈る日」とある。

(類似事例)

中野区立中央図書館  http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000029806window open

大阪府立中央図書館  http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000090473window open

 

(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000027276window open