モンゴル民族の活動舞台であるモンゴル高原は、内陸アジアの東部を形成し、日本の約9 倍の面
積です。そこには緑の高原(ステップ)が広がっています。内陸アジアのステップは、雨が少なく農耕
には適しない地域であることから、そこに住む人々は古来より遊牧と狩猟が生活の中心でした。彼ら
は、代表的な家畜ともいえる馬の飼育と利用を行う、騎馬遊牧の民でした。世界の遊牧民の中で、
騎馬遊牧民は内陸アジアの遊牧民だけであり、彼らは騎馬の力によって狩猟を行い、迅速に移動し、
農耕国家を圧倒する強力な国を建てていきます。このような強大な騎馬遊牧国家は、モンゴル高原
に多く興りました。
紀元前475 年から1125 年に興った東胡族
とうこぞく
・匈奴族
きょうどぞく
・鮮卑族
せんぴぞく
・突厥族
とっけつぞく
・契丹族
きったんぞく
などの国がそれに
あたります。青銅器文化が発達し、貴族の墓からは大量の青銅礼器、兵器、装飾品など副葬品が出
土した東胡族、牧畜を主とし肉と乳製品を食文化とし、精巧で美しく且つ草原文化の特色をもつ匈奴
族など独特の文化を構築していきました。モンゴル高原に興った遊牧国家は、やがて勢力が拡大す
ると南方の中国王朝や西方のオアシス地帯に侵入し、勢力下に置くようになりますが、漢民族の王朝
が強力であるときには統制下に入るなど外部世界と柔軟な関係を築きました。その間、交易や文化
的な交流を活発に行うなど漢民族の影響がうかがえる宝飾品も数多く残っています。
第1 章では、チンギス・ハーンが登場する以前の騎馬遊牧民族の東胡族・匈奴族・鮮卑族・突厥
族・契丹族の五部族の装飾品を中心とした出土品67 点を展示します。
【年表】
| 中国春秋・戦国時代 |
|
東胡、内モンゴルで勢力拡大 |
| 秦〜漢時代 |
紀元前206年頃 |
匈奴族が東胡に進攻、東胡大敗 |
| 紀元前761 年 |
匈奴、最初の遊牧王朝を建国 |
| 南北朝から隋唐時代 |
6世紀 |
突厥がモンゴル高原を制圧する |
| 宋時代 |
10世紀 |
契丹族が内モンゴルを掌握、遼王朝を建国、宋朝と対峙する |
| 遼時代 |
1125年 |
遼は、女真族に倒され、金朝が成立する、その後、北宋を滅ばし華北に君臨 |
| 1206年 |
チンギス・ハーンがモンゴル帝国建国 |
| 元時代 |
1271年 |
フビライ・ハーン、国号を元とする |
| 明時代 |
1368年 |
南京に明朝成立、元はモンゴル高原へ撤退 |
| 清時代 |
18世紀初め |
内モンゴルに続き、外モンゴルも康煕帝に征服され清朝の支配下に入る |
| 鷹型金冠飾り(一級文物) 内モンゴル博物院所蔵 |
青銅製鹿形装飾具 内モンゴル博物院所蔵 |
| 金製鹿頭形冠飾り(一級文物) 内モンゴル博物院所蔵 |
黄金のマスク(一級文物) 内モンゴル自治区文物考古研究所所蔵 |