企画展 5F

2019年03月19日(火)〜05月06日(月)

市民からのおくりもの2018
-平成28・29年度 新収蔵品から-

市民からのおくりもの2018

 

 東京都江戸東京博物館では、江戸東京の歴史と文化に関する資料を収集し、それらを未来へ伝えるために保存管理しています。また、資料が持つ様々な情報について調査研究を行い、その成果を展示などで公開しています。

 本展は、博物館が新たに収蔵した資料を、みなさまにご覧いただく展覧会です。今回は、平成28・29年度の2年間にわたり収蔵した資料の中から厳選してご紹介します。平成28年度は1,171点、同29年度は895点にのぼる資料を、「江戸博コレクション」の仲間に加えることができました。

 注目の資料は、江戸の名所として親しまれた亀戸かめいど梅屋敷うめやしきの珍しい伝来資料や、歌川うたがわ豊春とよはるの肉筆画の大作、近年評価が高まっている蒔絵師まきえし柴田しばた是真ぜしんの下絵類などの絵画、また、分館の「江戸東京たてもの園」に移築展示されている茶室「会水庵かいすいあん」を開いた茶人・山岸やまぎし会水かいすいの茶道具などがあります。

 江戸の風俗と文化を伝える浮世絵から、近現代の東京生活を物語る生活用品に至るまで、バラエティー豊かなコレクションの世界をお楽しみください。

 

開催概要

会期

2019年3月19日(火)~5月6日(月・休)

※会期中に一部の資料の展示替があります。
【前期】3月19日(火)~4月7日(日)
【後期】4月9日(火)~5月6日(月)

会場

東京都江戸東京博物館 常設展示室内 5F企画展示室
電話番号:03-3626-9974(代表)

 

・JR 総武線 両国駅西口より徒歩3分
・都営地下鉄大江戸線 両国駅(江戸東京博物館前)A4出口より徒歩1分
・都バス 錦 27・両 28・門 33 系統 墨田区内循環バス「すみだ百景すみまるくん・すみりんちゃん(南部ルート)」「都営両国駅前(江戸東京博物館前)」より徒歩3分

開館時間

午前9時30分~午後5時30分 
土曜日は午後7時30分まで(入館は閉館の30分前まで)

休館日 3月25日(月)、4月1日(月)・8日(月)・15日(月)・22日(月)
主催 東京都、東京都江戸東京博物館
観覧料金 常設展観覧料でご覧になれます。

観覧料
一般 600円(480円)
大学生・専門学校生 480円(380円)
中学生(都外)・高校生・65歳以上 300円(240円)
中学生(都内)・小学生以下 無料

 

*(  )内は20人以上の団体料金。消費税込。

 

*中・高・大学・専門学校生の方は学生証を、65歳以上の方は年齢を照明できるものをご提示ください。

 

*次の場合は常設展観覧料が無料です。身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)。

 

*シルバーデー(3月20日、4月17日)は、65歳以上の方は常設展観覧料が無料です。年齢を証明できるものをご提示ください。

 

*家族ふれあいの日(4月20日・21日)は、都内にお住まいの方で、18歳未満のお子様をお連れの保護者の方2名までの料金が半額となります。

展示構成

 第1章 江戸の名所 亀戸梅屋敷

 歌川うたがわ広重ひろしげ浮世絵うきよえ版画「名所めいしょ江戸えど百景ひゃっけい」の1枚に、かのゴッホが模写したことで有名な「亀戸梅屋敷」があります。

 亀戸梅屋敷は、8代将軍徳川とくがわ吉宗よしむねが鷹狩りの際にここを小休所とし、梅の花をめでたという由緒をもちます。代々喜右衛門きえもんを名乗る安藤氏が梅園を管理し、ここで収穫される梅の実を江戸城に納めました。向島や蒲田の梅屋敷と並び、江戸の梅見の名所として人びとに親しまれました。とくに銘木「臥龍梅がりょうばい」は有名で、広重の絵でも手前に大きく描かれています。しかし、1910年(明治43)に起きた水害で梅の木が枯れてしまい、閉園となってしまいました。

 このたび、安藤氏のご子孫から、大切に伝えられた関係資料を寄贈していただくことができました。梅屋敷の看板や江戸城出入りの鑑札・由緒書ゆいしょがきなど、幕府とのつながりを示す貴重な資料の存在が明らかになります。

 この他、最古級に属すると考えられている吉原よしわら細見図さいけんず武鑑ぶかん、江戸城大奥おおおく天璋院てんしょういん篤姫あつひめに仕えた女性の父が書いた日記など、歴史的に貴重な資料もあわせて展観します。

 

<主な展示資料>

江戸城出入りの鑑札(亀戸梅屋敷関係資料)
江戸城出入りの鑑札(亀戸梅屋敷関係資料) 1861年(文久1)

 

仙波市左衛門日記(薩摩藩士仙波家文書)
仙波市左衛門日記(薩摩藩士仙波家文書) 1853年(嘉永6)

 

 第2章 江戸のいきを描く 絵師えしたちの競演

 当館では、江戸の風景や生活の様子をビジュアルに伝える浮世絵や、江戸が産んだ優れた絵師たちの作品を積極的に収集しています。今回は、二つの重要な作品をコレクションに加えることができました。

 一つは、歌川うたがわ豊春とよはる筆の肉筆画の大作「浅草寺図せんそうじず」です。作者の歌川豊春は、遠近感を強調して浮き出てくるように見える「浮絵うきえ」を得意としました。この作品には、多くの参詣人にまじって鳩や鶏・コウノトリなど多種多様な鳥たちが描かれています。

 もう一つは、近年注目が高まっている幕末明治の蒔絵師まきえし柴田しばた是真ぜしんの下絵コレクションです。是真は、絵師としても非常に優れ、当時から高い人気を得ていました。このたび収蔵した作品は、是真の遺族に伝わっていた下絵や手控え類で、今は失われた作品もあり、是真研究に寄与する資料群です。

 この他、滝沢たきざわ馬琴ばきん伝奇でんき文学をダイナミックに描いた歌川うたがわ国芳くによしの傑作など、江戸絵画の数々をご紹介します。

 

<主な展示資料>

浅草寺図
浅草寺図 歌川豊春/画 江戸後期 
*展示期間 3月19日(火)~4月7日(日)

 

絵馬 桃太郎鬼退治 下絵(柴田是真絵様手控類)
絵馬 桃太郎鬼退治 下絵(柴田是真絵様手控類)柴田是真/画 江戸末期~明治前期
*展示期間 4月9日(火)~5月6日(月)

 

 第3章 ひろがる東京

 1872年(明治5)に新橋-横浜間で鉄道が開業してから、やがて150年になろうとしています。近代における都市東京の発展の歴史は、交通インフラの発達とともにあるといっても過言ではありません。

 明治維新で東京は新たな首都となり、江戸時代の街並みから近代的な都市へ改造する都市計画が検討されました。1884年(明治17)に東京市区改正審査会が設置され、1888年(同21)には東京市区改正条例が公布、計画案が作られました。

 しかし、計画はなかなか進まず、本格的な実施は20世紀に入った頃からです。これを後押ししたのは、鉄道の拡張や路面電車の敷設など交通網の整備でした。今や有数の観光スポットとなっている東京駅の駅舎が建設されたのもその頃です。交通が発達するにつれ、人びとは郊外へ旅するようになりました。また、政府は国を挙げて海外向けに日本観光をアピールし、外国人観光客の誘致に積極的に取り組みました。

 この章では、ひろがりゆく都市東京の姿に焦点を当てます。また、国民新聞のジャーナリストで東京市市政記者として活躍し、『東京市の改造』などの著作で論陣を張った村高むらたか幹博もとひろが集めた東京の地誌に関する資料がご遺族から寄贈されました。これもあわせてご紹介します。

 

<主な展示資料>

中央停車場(東京駅)建築写真
中央停車場(東京駅)建築写真 1911年(明治44)

 

鉄道省ポスター Beautiful Japan (駕籠に乗れる美人)
鉄道省ポスター Beautiful Japan (駕籠に乗れる美人)
吉田初三郎/画 1930年(昭和5)

 

 第4章 「かいすいあん」ゆかりの茶器と近代の生活文化

 当館の分館「江戸東京たてもの園」には、茶室「会水庵」があります。この茶室は、大正から昭和にかけて活動した宗偏流そうへんりゅうの茶人・山岸やまぎし会水かいすいが建てたものです。このたび、山岸会水のご遺族から、会水ゆかりの品々が寄贈されました。自分で窯を築き、茶掛けの筆も取るなど、多才だった会水自作の茶碗や書画などをご紹介します。

 また、この章では、働く女性の姿を伝える資料をあわせて展示します。大都市東京では、仕事を持ち自立して働く女性が多くいました。髪結かみゆいは今でいう美容師で、女性の髪結師かみゆいしが活躍していました。また、家庭で主婦が衣類を作るのが一般的だった時代は、裁縫教師が女性の職業の一つでした。ここでは、大正時代に東京谷中やなかで髪結を営んでいた女性の資料や、裁縫学校で学び後に裁縫教師になった女性が作った、裁縫さいほう雛形ひながたと呼ばれる練習用のミニチュア衣類をご紹介します。

 この他、明治から昭和にかけて活躍した金工師・府川ふかわ一則かずのり、及び六世尾形おがた乾山けんざんを継承した陶工・浦野うらの乾哉けんやの作品や関係資料を展示します。

 

<主な展示資料>

筒茶碗 銘葛城(会水庵資料)
筒茶碗 銘葛城(会水庵資料) 山岸会水/作 大西良慶/銘 1933年(昭和8)

 

裁縫雛形(打着) 裁縫雛形(大人普通シャツ) 裁縫雛形(セーラースコート)
裁縫雛形 1922年(大正11)

 

 第5章 風船爆弾工場の女学生たち

 太平洋戦争の時代、日本軍はある兵器を開発しました。爆弾を吊り下げた気球を作ってアメリカまで飛ばし、爆発させようというものです。当時は「ふ号兵器」の匿名がつけられましたが、現在は「風船爆弾」という名称で知られ、当館の常設展示にその復元模型が展示されています。

 この風船爆弾の製造には、勤労動員された若い女学生たちも、学業を捨てて従事していました。風船爆弾は、東京大空襲の影響により1945年(昭和20)3月をもって製造が中止されましたが、当時製造工場として使われていた東京宝塚劇場での解散式にあたり、女学生たちが工場関係者に贈った寄せ書きが、このたび寄贈されました。

 最後の章では、戦時資料及び戦後の占領期や東京オリンピックに関するものなど、市民のみなさまからお寄せいただいた、時代を表すさまざまな資料を展観します。

 

<主な展示資料>

風船爆弾製造工場勤労働員寄書
風船爆弾製造工場勤労動員寄書 雙葉高等女学校 1945年(昭和20)

 

GHQ東京占領地図
GHQ東京占領地図 1948年(昭和23)

関連事業

■ミュージアムトーク

 企画展「市民からのおくりもの2018-平成28・29年度 新収蔵品から-」見どころ

 

 学芸員による展示解説です。お気軽にご参加ください。

【日時】 3月22日・29日、4月5日・12日(各金曜日)
午後4時から30分程度
【集合場所】 常設展示室5階 日本橋下