日本でパンが本格的につくられたのはいつか?(2007年)

2015/06/08

 『舶来事物起原事典』(富田仁・名著普及会・0314/1/89)によれば、パンという言葉はポルトガル語に由来する、すなわちパンが日本に渡来したのはポルトガル船の来航した天文年間(1537~55)とあります。が、ものと人間の文化史80『パン』(安達巌・法政大学出版局・ 3838/104/96)には、パンは西アジアのメソポタミアで栽培がはじまった小麦の加工食品であり、(厳密には)伝来は2000年前ということになるとあります。ともあれ、パンはワインと共にキリスト教の聖餐式になくてはならないものだったので、キリスト教の禁止により次第に日陰者扱いされていったと『パンの日本史』(安達巌・ジャパンタイムス・3838/61/89)には書かれています。
 日本のパンは長崎出島で、あるいは南蛮菓子として、今日考えるよりずっとマイナーな歴史を歩みましたが、本格的なパンづくりは幕末の外患(戦争)に備えておこなわれました(保存携行用)。1842年(天保13)4月 12日、江川太郎左衛門は試作品を焼きました(これにちなんで毎月12日はパンの日)。
 のち、文明開化とあいまってパンはメジャーな食べものとなりました。蛇足ですが、1875(明治8)には木村屋総本店が和洋折衷型のあんパンを発明しています。

(参考資料)
『舶来事物起原事典』(富田仁・名著普及会・1989年・0314/1/89)
ものと人間の文化史80『パン』(安達巌・法政大学出版局・ 1996年・3838/104/96)
『パンの日本史』(安達巌・ジャパンタイムス・1989年・3838/61/89)

(備考)「パンの話」パン食普及協議会  http://www.panstory.jp/index.htmwindow open  (2014/4/23確認)

 

(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000034821window open