生類憐みの令はどのような法令か。(2007年)

2015/06/08

 生類憐みの令は、五代将軍徳川綱吉時代に発せられた生類愛護を趣旨とした一連の政策を指しており、「生類憐みの令」という名称の単一の法令が存在していたのではありません。

(回答プロセス) 
 『江戸時代の古文書を読む元禄時代』(徳川林政史研究所監修,竹内誠他著,東京堂出版,2002,2100/734/002)によれば、その始期は諸説あり、「貞享二年(1685)七月に発せられた将軍の御成先で犬・猫をつなぐに及ばずとの触や、九月の馬の筋のべの禁止、十一月の幕府台所での鳥類・貝類・海老の使用禁止などの措置を早い例とし、貞享四年正月に捨子・捨病人・捨牛馬を禁じて以来強化されたとするのがほぼ通説となっている。」とあります。
 また、『黄門さまと犬公方』(山室恭子著,文藝春秋,1998,2891/840/98)によれば、「二十五 年間にわたり百三十五回の発令が確認される」とあり、犬、馬、鳥、その他と対象生類を分け、発令回数の編年一覧表が掲載されています。『江戸の釣り水辺に開いた趣味文化』(長辻象平著,平凡社, 2003,7871/16/003)には、魚介類に関するものを中心に解説されています。

(参考資料)

『生類をめぐる政治 元禄のフォークロア』塚本学著 平凡社 1993年 2105/688/93
『資料日本動物史』梶島孝雄著 八坂書房 1997年 4810/1/97
『NHK歴史発見 10』角川書店 1994年 2100/463/10 (p.98 憐れみの令関係略年表)
『知られざる東京の史跡を探る』武蔵義弘著 鳥影社 2004年 2136/654/004
『AERA Mook 元禄時代がわかる。』朝日新聞社 1998年 2105/1037/98
『週刊TIME TRAVEL 再現日本史 江戸1(8)』講談社 2001年
『御当代記 将軍綱吉の時代』戸田茂睡著 塚本学校注 平凡社 1998年 2105/975/98
『御触書寛保集成』高柳眞三・石井良助編 岩波書店 1976年 3221/159/1
『国史大系 42・43 徳川実紀 5・6』吉川弘文館 1965年 2100/244/45・46
『近世法制史料叢書 2』石井良助編 弘文堂出版 1939年 3221/59/2
『正宝事録 1』日本学術振興会 1964年 3221/146/1
『生類憐みの世界 同成社江戸時代史叢書 23』根崎光男著 同成社 2006年 2105/1063/23 (p.47発令始期についての検証)
『徳川綱吉』塚本学著 吉川弘文館 1998年 2891/793/98 (p.124-163「生類憐れみの政治」)
『大江戸とんでも法律集』笛吹明生著 中央公論新社 2001年 3221/219/0009 (触書のいくつかが現代語訳してある。)
『江戸時代のお触れ』(日本史リブレット 85) 藤井讓治著 山川出版社 2013年 3221/235/0013 (p.4-11)

(類似事例)国立国会図書館 「徳川綱吉がだした 生類憐みの令 の全文が載っている本が存在するのか知りたい。もしあるなら、書名を知りたい。できれば、口語体でかかれているもの。」  http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000035437window open

 

(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000033408window open