2005.04.15(Fri)〜2005.05.29(Sun)

Feature Exhibition 5F

ある幕臣の幕末・明治 井上廉と川村帰元

川村帰元肖像写真(川村家蔵)

川村帰元肖像写真(川村家蔵)

 

時は明治維新。徳川幕府の終焉で、これまで幕府に仕えていた数多くの幕臣がさまざまな人生を歩みました。その中に2人の幕臣がいました。井上廉(1846~1915)と川村帰元(1824~1912)-。 井上家は砲術を職能とする御家人で、父は幕府勘定所の下級役人である普請役(ふしんやく)をつとめ、廉はその跡を継ぎました。河川工事の査定をはじめ、イギリス公使館の建設や和宮降嫁のおりの接遇のまかないなどの仕事をしました。

 

一方、川村家は、御庭番(おにわばん)の家筋にあたる旗本で、帰元の父修就(ながたか)は初代新潟奉行などをつとめた高級官僚でした。帰元も御庭番として遠国御用をつとめ、さらに徒頭(かちがしら)として将軍家茂(いえもち)の長州戦争に従軍しました。

 

井上廉肖像写真(井上家蔵)

井上廉肖像写真(井上家蔵)

 

明治維新で、幕府勘定方の人材の多くが明治政府に引き継がれ、廉も会計官勤務となります。そして実務官僚としすぐれた能力を発揮し、内閣会計局長・恩給局長にまで昇進しました。

一方、帰元は幕府の瓦解で出世の道を絶たれ、長男清雄(きよお)に家督を譲り隠居、徳川家に従い、静岡へ行きました。その後帰京し、みずからも生計に苦心しながら、洋画家になった清雄を見守り、時代に翻弄される家族を支えました。

今回展示する当館所蔵の井上家文書と川村家文書のうち、そのほとんどが初公開です。本展をつうじて、激動の時代にめぐりあったサムライの生きざまを感じ取っていただければ幸いです。

開催概要

開催期間 2005年4月15日(金)~5月29日(日)
会場 江戸東京博物館 常設展示室5階 第2企画展示室
休館日 毎週月曜日休館(ただし、月曜日が祝・休日の場合は開館、翌火曜日休館)
開館時間 午前9時30分~午後5時30分(木・金曜日は午後8時まで)
観覧料金 常設展観覧料でご覧になれます。
主催 東京都江戸東京博物館

主な展示資料

川村帰元米寿の書

川村帰元米寿の書

帰元は1912年(明治45)2月になくなるまで、89歳の長寿をまっとうした。帰元が亡くなった時、子息清雄は、新聞記事になるほど古式にのっとった旗本家にふさわしい葬儀で父を見送った。

井上廉の日記

井上廉の日記

廉が普請役になった1856年(安政3)から、亡くなる前年の1913年(大正2)までの58年間の日記。仕事や家族親類に関するできごとが書きつづられ、彼の人生と家の歴史をつぶさに知ることができる。

 

川村清雄画「伝川村龍水像」

川村清雄画「伝川村龍水像」

帰元の長男で洋画家になった清雄が描いた祖母たき(号龍水)と伝える肖像画

関連事業

えどはくカルチャー「展覧会みどころ講座」

開催日 5月18日(水)午後2時~午後3時30分
受講料 1,000円(800円)当日先着順
※()内の料金は当館友の会会員、ボランティア所属の方の受講料

 

ミュージアムトーク「 ある幕臣の幕末・明治」

開催日 4月15日(金)・ 22日(金)午後4時~午後4時30分
集合場所 5階常設展示室・日本橋下